生きてると疲れる

東京都、26歳、会社員。これまでと、このさき。

菅田将暉のクリアファイルをもらうためだけにauショップに行った件

ある朝突然、母が「auの夏フェス行こうよ」と誘ってきた。
「夏フェス?」「なんかいろいろもらえるらしいよー」
母が提示してきたスマホの画面を見ると、たしかになんかいろいろもらえるらしいことがわかった。
「あ、クリアファイルは選べるんだ」「そう!だから早めに行かないとほしいやつなくなっちゃうかも!」
鬼ちゃんこと菅田将暉のクリアファイルがラインナップされてることを確認した僕は、行くことに決めた。
「じゃ、今日帰りに待ち合わせして行こ!」


菅田将暉、フィリップくんを演じてるときはそこまで好きじゃなかったんだけど(『仮面ライダーW』では若菜姫が一推しで照井が二推しだった)、女装してたりグラブってたり、総理大臣してたりグラブってたりしてるのを見てるうちに、すごくいいなあと思うようになった。っていうか、『海月姫』の女装がものすごくよかった。もともと女装が似合いそうな風貌なのに、女装をする役を演じるにあたって、からだづくりから努力した話を聞いたときは、もう、なんというか感動した。最高の女装は1%の才能と99%の努力から生み出されるものなんだ!すごい!って思った。映画『海月姫』、まだ見てないって方は是非、何らかの方法で見てくれ。菅田将暉の女装はいいぞ。



僕と母は、待ち合わせてauショップへと向かった。

この、近所のauショップというのがくせ者である。店に入るとまず新人っぽい女の子が何の用で来たのか聞きに来るのだが、彼女に用件を伝えるのがなかなか厄介なのだ。たぶん、簡単なマニュアルを覚えるくらいの教育しかされてないのだと思う。「故障です」とか「機種変です」とかなら通じるのだろうが、母の「フェスに来ました」は一ミリも伝わる気配がない。あまりにも伝わらないので女の子が引っ込んで、かわりに社員ぽいおにいさんが出てきて、どうにかクリアファイルを手にすることはできたが、母はもらえるものは全部もらって帰ろうとしてくるからおにいさんに電気の検針票を見せびらかして「これ見せると電池がもらえるって聞いたんですけど」などと言う。おにいさんは「確認して参ります」と言って少しして電池をもって戻ってくる。「auでんきのご契約…」「しません」「ご興味は…」「ありません」母が、強いモードになっているのを感じる。こういうときは興味がなくても説明くらい聞いてやるのが人間のルールではないのか。強いモードの母に人間のルールは通用しないのか。母は電池を手にし、auでんきの説明なんぞ一言も聞いてやらないのだ。

僕が小学生の頃、つまり15年くらい前には「買うものが1個しかないー!こんなちょっぴりの買い物でレジ行くの恥ずかしいからユキちゃんが買ってよう」なんてよく言ってた、恥じらいのある母はもういないのだ。諸行は無常だし盛者は必衰だし、人間は何歳になっても成長し続けることができる。道理である。

そんなこんなで、僕が実物を見たかった新しいAQUOS PHONEのちいさいやつはまだ発売されてないこともわかり、僕たちは満足して帰路についた。


帰宅して、改めて菅田将暉のクリアファイルを見ると、菅田将暉はやっぱりきれいな顔をしていた。全然若く見えるし、またフィリップくんの役で映画とか出ればいいのになあ……若く見えるとか見えないとかの問題じゃなくて、出世しちゃったからギャラが高いのかなあ…… なんて、誰でも思うようなことを、思う。


がんばってもらいに行ったけど封印します。